今日の医療にはさまざまな問題点があります。その結果、医療不信が蔓延しています。再生医療だの臓器移植だのと先端医療が華々しく展開される反面、「私の頭痛はなぜ治らない?」という患者が増加しているのも事実です。
現代医学の問題点とは、機能的疾患の診断・治療学の貧困、器質的疾患の治療における副作用、致死的病態の治療学の貧困などです。
私たちの考える全人医療とは、いつ,いかなる場合も、患者を病める人、「いま,ここで」生きている生活者としてとらえ、そのQOL(クオリティ・オブ・ライフ;
生活の質)を高めることを目的とした医療です。その実践のためには、現代医学をベースにしながらも伝統的東洋医学、心身医学、実存分析、物理療法などの方法論を相補的に導入します(統合医療)。全人医療は、人類の叡知を集結し、患者個々のQOLの向上に役立てる医療です。また、患者を観る視点は身体・心理・社会・実存モデルに従い相互主体的医師―患者関係を構築し、チーム医療を実践することを目指しています。
第1回の国際全人医療学会は、1993年のビクトール・フランクル博士の来日を機に、東京で結成されました。池見酉次郎教授、Stacey B Day教授、Spyros Marketos教授、Mermed RN教授、Immielinski K教授らが賛同されました。その後、しばらく休会しておりましたが、2014年に再開され、今日に至っております。
全人医療は、国際的な普遍性をもつ医療です。各国の先駆的な団体、大学と提携し、全人医療の研究、教育、診療に力を注いでいます。
同時に、その成果を社会に還元し、市民個々の積極的な全人的健康創りに寄与できるよう取り組んで参ります。
今後とも皆様の一層の御支援をお願い申し上げます。
国際全人医療学会
前代表理事 永田 勝太郎