2025年は実存分析を提唱したフランクルの生誕120年です。
1990年にフランクルに会いにウィーンを訪れた永田勝太郎は、その後何度もフランクルから直接教えを受け、また日本に招聘してきたフランクル最後の弟子です。
その永田の著書「実存カウンセリング」のまえがきをご紹介します。
私が初めてビクトール・フランクル博士とお会いしたのは1990年の6月であった。その頃、私は人生に挫折し、路頭に迷っていた。「困ったら初心に返る」思いで、学生時代に読んだ先生の著作『意志の探求ー一精神医学者の収容所体験』(日本名『夜と霧』)を読み返し、一筋の光明を得た。貪るように読み返し、私自身の生きる意味、医療の意味をもう一度考え直した。その結果、私は立ち直れた。無性にフランクル博士にお会いしたくなった。そしてウィーンへ飛んでいった。
以降、先生がお亡くなりになる1997年まで、何回、否、何十回、ウィーンへとんだことか。
先生には不思議なエネルギーがあった。お会いすると、元気が出てくる。苦難に立ち向かおうとする力が湧いてくる。先生のいう自己超越の力が湧いてくる。
私は実存分析(ロゴセラピー)をさまざまな疾患の治療に試みた。手探りだった。それを先生に報告し、評価していただいた。先生は厳しい中にもいつも的確な評価をしてくださった。その成果を本書にまとめた。
その中には癌の末期の患者、神経難病の患者など現代医学では治療の見込みのない患者も多数いた。しかし、実存分析が奏効すると、見事に立ち直ってくる。生命の量も質も改善する。あたかも奇跡のように。否、これは奇跡ではない。普遍的な科学なのだ。
(引用文献「実存カウンセリング」永田勝太郎著. 駿河台出版社. 2002年. p.3-4)
「ヴィクトール・フランクルと全人的医療- ヴィクトール・フランクル生誕120年 -」第12回国際全人医療学会大会を開催します。
日時:2025年10月5日(日)10~17時
会場:日本教育会館 7階 中会議室(東京都千代田区一ツ橋2-6-2)
(2025年8月31日まで早割受付中)