永田勝太郎先生は「痛み」をライフワークに据えて、患者さんを全人的に理解し、西洋・東洋・心身医学を統合した新たな医療を実践しました。
永田の著書『痛み治療の人間学』には、 その思想と実践と、患者さんが自ら治していくための知恵が詰め込まれています。
ぜひ一度お手にとってみてください。

一部を引用してご紹介します。
「痛みに向き合うことは、「今、ここ」で生きている人間の医療の原点を見つめることである。痛みはその人固有の生き方、すなわち生活習慣(ライフスタイル)の歪みから生まれる。生活習慣とは、その人らしさをつくる固有の生活の質(QOL、クオリティ・オブ・ライフ)、すなわち、体質(遺伝)、加齢(老化)、日々の生き方、感染、こころの持ちよう、性格、環境、生き甲斐など多くの要素が絡み合って、つくりあげられる。言わば、痛みはその人独自の、誰にもまねのできない生き方に関係している。このような個別性の強い人間の生き方を私は、「生きざま」と呼んでいる。したがって、「痛みは、その人固有の生きざまの反映である」と言えよう。」
『痛み治療の人間学 (朝日選書 853) 』永田勝太郎・朝日新聞出版・2009年. p.5