
慢性疼痛、慢性疲労の専門医でもあった永田勝太郎先生は、体調不良と血糖値の間に深い関係があることに着目し、そのメカニズムを一冊の本にまとめています。
今日は、この著書から血糖値スパイクという現象についてご紹介します。
「食事の後、眠くなる人がよくいます。どうして食後に眠くなるのでしょうか。
これは食事をすると急に血糖値が上がり、その直後、今度は急速に血糖値が下がるためです。この血糖値の乱高下を血糖値スパイクといいます。血糖値スパイクが起こると脳に行く血液の血糖値も低下するので、脳が働けなくなります。こうして脳が小休止し、それが「眠くなる」という症状になって表れるのです。
脳の重量はヒトの体重のわずか2%しかありません。ところが、脳は大量のエネルギーを使います。なんと身体全体で消費するエネルギーの20%も使っています。脳は「大飯食い」なのです。
さらに、脳は偏食家(美食家)です。他の臓器はタンパク質でも脂質でも栄養源にできますが、脳はブドウ糖しか栄養源にできません。したがって、血糖値が下がる、つまり、血液中のブドウ糖が少なくなると、脳は働けなくなります。その結果、眠くなってしまいます。
なぜ血糖値が下がるのか?
では、どうして血糖値が急に下がるのでしょうか。それはインスリンというホルモンが関係しています。インスリンは、すい臓から分泌されるホルモンです。
食事をとると血糖値が急に上昇します。すると、すい臓が刺激されてインスリンを分泌します。血糖値スパイクを起こしやすい人のすい臓は、健康な人のすい臓にくらベて過敏です。そのためすい臓が過剰に反応し、インスリンを大量に出してしまいます。そうすると今度は血糖値がストンと下がってしまうのです。そのため食後に眠気が出たり、異常な疲労感が出ます。」
引用文献:『「血糖値スパイク」が万病をつくる!』永田勝太郎, ビジネス社, 2020年. p.54-56