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【書籍紹介】夫婦円満のコツ(『痛みの力』永田勝太郎 著)

永田勝太郎博士の2010年の著作『痛みの力』から、一部抜粋してご紹介します。

 

今回は、フランクル博士が教えて下さった夫婦円満の秘訣について書かれた箇所です。

フランクル博士のチャーミングなお人柄が伝わってくるようです。

(以下引用)

 

 アウシュビッツから、ウィーンの病院に戻られたフランクル博士は、その病院で看護助手をされていたエリーさんと知り合うことに。そのとき、博士が三十八歳、エリーさんは十八歳でした。

 

 ある日、エリーさんは、フランクル博士のところに書類を届けるように言われ、博士の部屋のドアをコンコンとノックしました。先生は一生懸命机に向かって書き物をしていました。博士がフッと振り返りました。ちょうど、エリーさんがドアから入ってきたところで二人の視線が合い、その瞬間、フランクル博士は一瞬閃きました。「もし私が再婚するなら、この人しかいない」、エリーさんも瞬間、思ったそうです。「もし私が結婚するならこの人しかいない」、そしてその二人は、その後、間もなく結婚することになったのでした。

 

 エリーさんと再婚された博士は、戦後、非常に幸せな人生を送られました。外から見ていても、本当に仲がよかったのです。一九九三年に、私が日本にご夫妻をお招きして、日本で学会を開きました。そのとき一週間ほど、私は先生方と一緒に日本国内を旅行して回りました。あまりにお二人の仲がよいので、最後の晩、私は横浜のホテルで博士にちょっと尋ねてみました。

 

 「先生ご夫妻は本当に仲がいいですね。日本人の夫婦にも仲のいい人はいっぱいいますが、比較にならないくらい仲がいいですね。そのコツはどこにあるのですか?」と。すると、

「いいかい、永田君。男と女が出会うだろ。そのときは、あばたもえくぼ、これはだいたい一年続く。二年目になってくると、あばたはあばた、えくぼはえくぼになってくる。しかし三年経つと、今度はえくぼもあばたになってくるんだよ。どうしてだかわかるかい。それは二人が顔を見合わせているからだよ。夫婦は顔を見合わせてはいけない。夫婦というのは同じ目的に向かって、同じ方向を向けばいいんだよ」と、言われました。

 

 このことは星の王子様を書いたサン・テクジュペリも同じようなことを記しています。

 たしかに夫婦が仲良く、円満にやっていくコツだと思いました。

 

引用文献:『痛みの力』永田勝太郎. 海竜社, 2010年, p.80-82