実存療法(実存分析・ロゴセラピー)とは、人間の実存性(ロゴス、存在)に訴える精神療法です。
実存療法の具体的な技法には、反省除去と逆説志向があります。
今回は反省除去について、永田勝太郎先生の著作を通して学んでみましょう。
(以下は、永田勝太郎 著『〈死にざま〉の医学』( 2006. 日本放送出版協会)の一部を抜粋または要約です。)
反省除去とは、
症状に強迫的にとらわれている患者に対して、その関心の矛先を自己の症状そのものから、その患者の人生に十分な意味と価値を与えてくれるような事物に積極的に向けることで、とらわれから解放させる方法である。
ライフレビュー・インタビュー
反省除去の一例として、ライフレビュー・インタビューがある。
医師や看護師、心理士などの治療者や家族が聞き取る方法と、自らノートに記載する方法とがある。
ここでは、私たちが行なっているノートに記載する方法を示そう。
ノート(またはレポート用紙)を一冊用意してもらい、ゼロ歳から今日の年齢までの数字をページの頭に書く。すなわち、一ページに一歳分のスペースをとる。
そこに、「ゼロ歳のときについて、思い出すできごと」を書いてもらう。
全部書き終わったら、それについて感想をまとめてもらう。
それを必ず治療者とともに振り返るようにする。
治療者は「○○さんの二六歳の頃はたいへんだったけれど、充実したときでしたね」と、ポジティブに患者さんの過去を振り返る。これを繰り返す。
ライフレビュー・インタビューの目的は、患者さん自身や周囲との関係などについて、患者さんにより客観的な視点を与えようとすることである。
さらに、書くという作業自体が自分の考えをまとめ、自己を客観視し、洞察を深めることに役立つ。
その中で、患者さんが生育歴上の出来事を積極的、ポジティブにとらえることを通して、過去の出来事を踏まえ、いまここで自分はどう考え、どうしてゆきたいのかを治療者とともに模索していくのである。
こうした作業の過程で、人間存在の時間的有限性(時間内存在)や、人がみな生かされ、生きている存在(関係内存在)であることに気づき、それらを踏まえて「生きる」とはどういうことかという本質的命題に迫るのである。
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