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『がんの再手術を拒否する時 ー末期の全人的医療に挑む』

『がんの再手術を拒否する時

ー末期の全人的医療に挑む』

三省堂. 1995

 

著者

患者:比屋神無座

主治医:永田勝太郎

上司&友人:足立真啓

 

38才で進行がんを宣告された患者・比屋神無座、心身医学・全人的医療を提唱する主治医・永田勝太郎、漢方ほかの映画を制作する会社の上司で友人の足立真啓、3人がスクラムを組んでがんに立ち向かった記録。

 

胃がんは再発した時、『完全治癒』をめざす治療法はあるのか?

延命をはかり、充実した最後の日々を送るために、

再発後の手術はどの程度有効なのか?

ベッドにしばりつけられる日々をあえて拒否し、

自ら高いQOLを求めて模索した患者とその友人達の問題作!

 


 

【目次】

第1章 早すぎる胃がん告知ー38歳

第2章 比屋神無座という男、漢方の映画をつくる仕事

第3章 がんの再手術を拒否する時

第4章 信頼できる医師との幸運な出会いー全人的医療とは?

第5章 比屋流自己治療実践記

第6章 がんと漢方の効果について考える

第7章 最後までー8年生存した比屋君の治療の選択は正しかったのか?

 


 

1993年、永田先生はフランクル博士を日本に招聘し、日本実存心身療法研究会を発足させました。

永田先生の執筆された箇所から、当時のエピソードを抜粋してご紹介します。

 

 

 その際、私は比屋君をフランクル博士に引き合わせようと企てた。なぜなら、フランクル博士の実存分析(ロゴセラピー)が普遍的な学問(科学)なら、これは、比屋君にも該当するはずだと考えたからである。

 東京のホテル・オークラの一室で、比屋君はフランクル博士に対面した。

 彼はふだんの彼らしくもなく、異常に緊張していた。当然だろう。フランクル博士はアウシュビッツという20世紀最大の地獄を生き抜き、そのことのみならず、その経験を学問にまで昇華できた偉大な人物であるからである。会談は延々1時間以上に及んだ。

 フランクル博士は親しく彼と話してくれた。フランクル博士自身の煉獄での体験、多くの患者との出会い・・・。ユーモアと慈愛にあふれた会話がそこにあった。

 長い会談の後、最後にフランクル博士は、比屋君にこう言った。

「ミスター比屋、あなたには、責任がある。あなたはがんを持ちながらも、現に今、ここでこうして生きている。まずそのことを喜ばなくてはならない。さらにこのことを、同じような病気で苦しんでいる多くの人達に伝えなくてはならない。それがあなたの責任である」

「はい!」

 比屋君は全身を緊張させながら、そう答えた。

 


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