毎月、バリントグループワークというケース検討会を開催しています。
参加者のお一人に症例報告をしていただき、アドバイザーの先生方からコメントを頂きながら皆で理解を深めていきます。(新規参加者募集中です。)
皆さんは「バリント方式」という言葉をご存知でしょうか?
永田勝太郎先生の著書『新しい医療とは何か』から、その意味を考えてみましょう。
バリント方式の医療面接法による全人的な患者理解
バリント方式とは、全人的医療の核である心身医学的アプローチの基礎になる医療面接法と、それが可能になるような教育訓練グループであるバリント・グループ・ワークを総称して言う。
この方式は、英国のバリントにより創始され、1939年から実践されている。彼は、一般開業医を訪れるごく当たり前の疾患をもった患者さんをどうしたら全人的に理解できるかを考え、そのための面接法を考案した。この面接法は、患者との相互主体的な関係(医師の患者に対する大いなる受容と患者の医師に対する信頼からなる関係)のなかで、傾聴を行い、そのなかから、主訴となる身体症状(問題)の背後に潜む身体・心理・社会・実存的な因子を把握していく。それは、自らについて多くの情報をもつ患者と、それらを分析する方法をもち、問題どうしの絡みについて評価できる医師との共同作業である。
そうした作業のなかで、問題は分析され、統合・整理され、医師・患者双方に理解されるようになる。その結果、患者は自ら全人的な自己理解を促せるようになり、かつ自ら問題解決に至ることもある。このような患者自身による問題解決を支持する医師の態度こそが「医師というクスリ」であり、「治療的自我」である。
さて、こうした面接が、一般の外来レベルでもできるように医師を訓練するのが、バリント・グループ・ワークである。今日、世界的に認められている教育方法であり、国際的には、全人的医療の卒前・卒後教育として、世界各地で実践されている(国際組織には国際バリント連盟がある)。スイスのアスコナで始められたアスコナ方式のバリント・グループ・ワークは、医師のみならず医学生、看護師、医療ソーシャルワーカーなど医療に関した多職種の参加するグループ・ワークとして有名であり、WHO(世界保健機構)も推奨している方法である。我々もこの方法を採用している。
『新しい医療とは何か (NHKブックス 817) 』(永田勝太郎・日本放送出版協会・1997年)より
バリントグループワーク(参加者募集中)
●開催形式:オンライン開催(Zoom)
●開催日程:原則毎月第3水曜日18:30~20:00
後期:2025年 12/17、2026年 1/21、2/18、3/18
【アドバイザー(医師)】
加藤眞三(慶應義塾大学名誉教授、エムオーエー高輪クリニック院長)
杉岡良彦(京都府立医科大学 大学院医学研究科 医学生命倫理学 准教授)
石橋由孝(日本赤十字社 医療センター 腎臓内科部長)
【ファシリテーター】
大槻千佳(千代田国際クリニック公認心理師、上級国際実存療法士)
【参加対象者】
医療従事者、医療職を目指している方、学生、医療に関心のある方
●当講座は日本実存療法学会認定資格「国際実存療法士」の認定講座です。
