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「人生はあなたに絶望していない V.E. フランクル博士から学んだこと」永田勝太郎 著

『人生はあなたに絶望していない V.E. フランクル博士から学んだこと』

永田勝太郎 著

致知出版社, 2017

 

50歳を目前に病に倒れた永田勝太郎先生。

寝たきりになり、絶望の淵に立たされた永田先生が、どのように死を乗り越え生還したのかを綴った感動の物語です。


 

 この先生との出会いは、まさに地獄で仏に出会ったようなものだった。

 

 おばあちゃん先生は鍼をやるだけではなく、鍼と一緒にリハビリテーションも行ってくれた。また、非常に心の優しい人で、私の愚痴をよく聞いてくれた。

 いくらリハビリを繰り返しても、ちっともよくならないためか、私はどうしても愚痴っぽくなってしまう。

 

 堀内先生に、「ねえ、先生、毎日、リハビリや鍼をやっても、ちっともよくならない。ねえ、先生、俺、もうすぐ死んじゃうんだよね」と言ってしまう。

 すると、先生は答えようとなく、黙ってしまう。そして、黙々と鍼をし、それが終わると、廊下に出て、すすり泣くのだった。私という赤の他人のためにである。

 

 先生のすすり泣きを聞き、私は後悔する・・・「また、先生を泣かしちゃった・・・・・・」、こう思いながらも、私のために泣いてくれる人がいることを全身で感じ、うれしくなったのも事実だった。時には一緒に泣くこともあった。これは、最高のカウンセリングである。

 堀内先生は、本当に仏様のような人だった。

本書より 


【目次】

 

まえがきーー禍福はあざなえる縄のごとし

第一章 私の奇跡体験とフランクル先生の教え

死の淵からの生還ーー私自身の体験1

青天の霹靂

ステロイドの副作用

「一生、立てない、歩けない、車椅子も無理です!」

無意味なリハビリ

死ぬにも死ねない

熱海へ

変なドクター

ステロイド・ミオパチーという難病

私が倒れた本当の原因

技師さんたちの態度

改めて知ったクスリの怖さ

悲しさと空しさと

ロボコップと幽霊

師匠、池見酉次郎先生の逝去

私が教えを乞うた先生方

米国からの誘いと全人的医療学

パニック発作

池見酉次郎先生の最晩年のテーマ「死の受容」

生きるか死ぬか、どちらかしか選べない

フランクル先生との対面

エリー夫人への手紙

奇跡が起きた!

至高体験とミッションの創造ーー私自身の体験2

新しい意味、〈なぜ?〉から〈いかに?〉

実存的転換〈自己超越〉

医学教育の貧困

個別性の医療と全人的医療

諦めなければ道は必ず開ける

鍼の作用

治療者のヒューマニズム

温泉療法の効果

退職勧告

干物屋の美樹ちゃん

私が回復できた理由

そして、今日・・・

第二章 ビクトール・フランクル先生と私

自らが生きる主体は「自分」にある

ビクトール・フランクル先生の生涯

実存分析の医学への展開

絶望を希望に変える魔法

四十にして惑うーーフランクル先生からの手紙

ウィーンへ

絶えず人間を考え続ける

ユーモアとしたたかさ

フランクル先生との会話

「素直で、したたか」な生き様

「生命の尊厳」を忘れた現代人

地球市民として生きる

人間復興の時代

第三章 人生はあなたに絶望していない

ーービクトール・フランクル先生来日講演録

フランクル先生ご夫妻の来日

フロイト、アドラーとの交流

強制収容所の経験

実存哲学について

ローマ法王との出会い

精神分析と神の問題

自己超越(意味を求めての実存的態度変容)とロゴセラピー(実存分析)

人生はあなたに絶望していないーーおわりに


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