「慢性疼痛 治療へのアプローチ」
村山良介・猪俣賢一郎・永田勝太郎 編
医歯薬出版株式会社, 1992年
医療分野の科学技術の発展は目覚ましく、1992年と現在とでは診断も治療方法もかなり変化していることでしょう。ですが、慢性疼痛への医師の態度や哲学は、今も昔も変わらないものがあるのではないでしょうか。
本書を読むことは、時代とともに何が変わり、何が変わらないのかを確認する機会となるかもしれません。
いかなる疼痛も初めはすベて急性から始まると考えてよいだろう。
それが何らかの機転により、慢性化してしまったものが慢性疼痛である。
患者は、そのプロセスの中で、多くのドクターショッピングを繰り返し、それでも治癒しない自分の疼痛に対し怒りの感情を持つようになってゆき、ついには「医療不信」に陥っていくことすら珍しくない。
否、むしろ多くの慢性疼痛患者は基本的に医療不信を根底に有していると考えてアプローチしたほうがよい。
(本書より 永田勝太郎先生の言葉を抜粋/要約)
目次
Part I / 慢性疼痛とは
1. 慢性疼痛の包括範囲
2. 慢性疼痛の総合的な考え方
3. 慢性疼痛発症の要因
4. 慢性疼痛の診断法
5. 慢性疼痛の治療
Part Ⅱ/ 症例とその解説
1. 頭痛
2. 頚部痛
3. 肩部痛・背部痛
4. 背部痛
5. 上肢痛(カウザルギー)
6. 慢性下肢痛
7. リウマチ性疼痛
8. 下腹部痛
9. 尿管結石後に発症した慢性下腹部痛患者の行動療法
10. 臀部痛
11. 慢性腰痛
12. PAIN PRONE DISORDER(慢性疼痛背性格障害)
Part Ⅲ / 特殊な慢性疼痛
1. カウザルキー
2. 反射性交感神経性ジストロフィー(RSD)
3. 幻肢痛
4. ヘルペス後遺痛
5. 慢性疼痛を伴う歩行障害
6. 戦争で負傷, 数十年後に発症した右側腹部の痛み
Part Ⅳ / 癌性疼痛
1. 癌性疼痛
おわりに;「ホスピス・イン・マイ・マインド」の気概
