「新しい医療とは何か」
NHKブックス817
1997年出版
永田勝太郎 著
永田勝太郎先生による、患者中心の全人的医療の入門書です。
医療をより完全なものにするための方法として、「全人的医療」(comprehensive medicine) が位置づけられる。それは、患者をいついかなる場合でも、「病む人間」として、個別にとらえていこうという視点である。ここで、個人とは人間としての全人(全体性)であり、「身体・心理・社会・実存的統合体」を意味する。これはいわば、医療本来の姿である。残念ながら、現代医学のもつ方法だけでは、十分に効率的医療を成し遂げられない。
「まえがき」より
【目次】
まえがき
第一章 病気の三期と現代医学のピットフォール
- どうしたら救えるかーー絶死した商社マンの例
- 器質的疾患と機能性疾患
- 決してあきらめない医療
- 現代医学のピットフォール
第二章 未病を治すーー機能的病態へのアプローチ
- 「気のせい」「様子を見よう」の結果は・・・
- 伝統的東洋医学に見る、未病を治す方法
- 機能的病態の診断・治療のためにーー心身医学と東洋医学の協調
- 伝統的東洋医学的診断法
- 行動変容:生活習慣病の視点
- 悲嘆療法で難病から回復
第三章 瀉法と補法
- 瀉法と補法を使い分ける
- 17-KS-Sと17-OHCS
- 評価方法としてのS、OH、S/OH
- 現代医学のピットフォールを乗り越える知恵:補法
- 現代医学と伝統的東洋医学を結ぶもの
第四章 医師の態度
- 医師ー患者関係:共感、同情、迎合
- 医師の「態度」とは?
- 三つの質問方式
- かかりつけ医は「コンビニ・クリニック」か?
- キュアとケア:チーム医療
- 患者評価表(PEG)
- 医療の質の評価
- 全人的医療の実際:高木さんの不調
- 機能的病態にどう対応するか
- 高木さんの抱える問題
第五章 致死的病態のケア
- ターミナルケアにおける実存分析療法とその背景
- 癌すら従えた老婆
第六章 なぜ新しい医学が必要なのかーーニュー・パラダイムの創造
- 日本人の知恵の源泉
- 新しい医学の方向:分析と統合と
- 医療界の現実
- 現代医学では問題解決不可能な分野への対応
- 第一群(今後、科学者の熱意により解決されるべき問題)について
- 第二群(キュアに加えてケアの方法論の導入が必要な問題)について:ケアの体系化
- 第三群(予防が重要な意味を持つ疾患のケアの問題)について
- トータルに医療を見る日
- 「普遍性の医学」から「個別性の医学」へ
- 全人的医療は「質の医療」
第七章 「全人的医療」のあらまし
- 全人的医療の三ステップ
- バリント方式の医療面接法による全人的な患者理解
- カウンセリングと医療面接法
- 現代医学・伝統的東洋医学・心身医学の相互主体的鼎立
- 全人的医療は代替医療ではない
- 最近の米国での現実
- 全人的医療の歴史ーー古代からバリントへ
- 身体・心理・社会的医療モデルの誕生
- 人間学的心理学の台頭
- 身体・心理・社会・実存的医療モデルの完成
- わが国の全人的医療
第八章 QOLとは何か
- QOLは生命の質
- QOLの定義
- QOLの測定・評価の条件
- QOLを構成する項目
- ”QOL調査票”実施のための心得
第九章 血による生態防御の知恵
- 血とは何か
- 瘀血とは何か
- 瘀血の科学的解明
- 瘀血と血液凝固
- どうして瘀血が起こるのか
- 瘀血の治療
- 瘀血治療と養生・行動変容
- 「使い分け」の重要さ
- 突然死した学生
- 瘀血とセルフ・コントロール
- 気づきと死相の科学:音楽家の感性
- セルフ・コントロールに成功した例
第十章 全人的医療の核としての実存分析(ロゴセラピー)
- 全人的医療の核は何か
- 実存分析の歴史と展開
- 実存分析の理論
- 実存分析の技法
- 実存分析の適応
- 生活習慣病のコントロール:糖尿病
- 老人医療とライフ・レビュー・インタビュー
- ライフ・レビュー・インタビューによるモルヒネの減量
- 実存分析と治療的自我
- 全人的医療の三ステップと実存分析
- 全人的医療の第一ステップと実存分析
- 笑いによってよくなった過敏性腸症候群
- 全人的医療の第二ステップと実存分析
- 全人的医療の第三ステップと実存分析
- 実存的転換:素直でしたたかな生き様
- 癌の自然退縮
- 癌の実存的転換の条件
- 従病の科学的評価:17-KS-S
- 汎適応症候群から
- 多発性骨髄腫の例
- 啐啄(そったく)
- 本章の終わりに
参考文献
あとがき
